これは実務上の備忘録です。専門的な内容が多いので、一般の方は読んでもあまり参考にならないかもしれません。

手続きの流れ

  1. 取締役会の決議(取締役会非設置会社は取締役の過半数の賛成による決議)
  2. 上記1の決議にて消却予定日を決めることができる。
  3. 株主名簿の記載の抹消を行う(上記2の消却予定日を定めていない場合は、抹消の日が消却の日になる)。
  4. 株式発行会社は上記3と同時に当該株式を破棄する。
  5. 消却により発行済株式総数が減少するため、消却の日から2週間以内に登記申請が必要となる。
  6. 会計処理を行う。

[会社法第178条]
1.株式会社は、自己株式を消却することができる。この場合においては、消却する自己株式の数(種類株式発行会社にあっては、自己株式の種類及び種類ごとの数)を定めなければならない。
2.取締役会設置会社においては、前項後段の規定による決定は、取締役会の決議によらなければならない。

会計処理

自己株式は純資産の部にマイナスで記載されているが、これを消却する場合には、「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」の定めにより、まず「その他資本剰余金」から減額する。
その他の資本剰余金がゼロになったら、残額を「その他利益剰余金」から減額する。

[自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準]

自己株式の処分
09.自己株式処分差益は、その他資本剰余金に計上する。
10.自己株式処分差損は、その他資本剰余金から減額する。

自己株式の消却
11.自己株式を消却した場合には、消却手続が完了したときに、消却の対象となった自己株式の帳簿価額をその他資本剰余金から減額する。

その他資本剰余金の残高が負の値になった場合の取扱い
12.第10項及び第11項の会計処理の結果、その他資本剰余金の残高が負の値となった場合には、会計期間末において、その他資本剰余金を零とし、当該負の値をその他利益剰余金(繰越利益剰余金)から減額する。

仕訳

消却する自己株式が300万円、消却時の「その他資本剰余金」の残高100万円、同「その他利益剰余金」の残高600万円とすると、仕訳は以下の通りとなる。

その他資本剰余金 100万円 / 自己株式 300万円
その他利益剰余金 200万円