1.貸付金

金融機関から融資を受けたい、または、すでに融資を受けているので、できれば見栄えの良い決算書にしたい、というお気持ちはよく分かります。
このとき、銀行から見て貸借対照表に「短期貸付金」または「長期貸付金」があると、一般的には印象がよくありません。そもそも人にお金を借りようとする人が、別の人にお金を貸しているってどうでしょうか?

お金を貸してくれと頼まれる方の気持ちになって考えてみましょう。普通は「まず、貸しているお金を返してもらうのが先でしょう」って思うのではないでしょうか。
銀行の人だって基本は同じです。ただ、彼らはお仕事ですから声には出さないでしょうけども。

ところで、この「貸付金」ですが、貸付先が社長になってませんか?
しかも、借りた覚えはないんだけどなぁ・・・、なんてことにはなっていないでしょうか?

こういうことは実際に起こります。
少し話がそれますが、会社の経費として落としにくい領収書が回ってきたときにどうするか?落とす?やめる?悩みます。
もちろん、ちゃんとお客様に確認して、落とせるものは落として、経費にならない(会社の仕事と関係ない)ものはきちんとご説明するのがスジなのですが、数百円~数千円程度の領収書をひとつひとつ確認できずに、「 えいやっ! 」と処理したときに発生するのが記憶にない「貸付金」なのです。

こういう処理が頻繁に行われているとしたら、金額も膨らみますし、ちょっと怖いですね。
皆様の決算書には、こういう貸付金が計上されていませんか?

2.銀行受けする決算書

銀行対策の決算書を作ります!なんて見るとすごく融資が受けやすくなるんじゃないか?と思ってしまいますが、ポイントは数点しかありません。
代表的なものは、売上高、営業利益、経常利益を大きくする。自己資本比率を上げる。仮払金や貸付金のような不明瞭な科目を減らす。などで、特殊なテクニックが必要なものはほとんどありません。

どちらかというと、普通にちゃんと決算書を作っていれば、決算書で融資の結果が左右されるようなことにはならないと思うのです。もちろん、売上に含めるようなものが雑収入に入っているとかなら別ですが、雑収入の中から売上に入れられそうなものを探すとか、費用からマイナスするとか、それで大きく金額が変わることなんて普通はほとんどないでしょう。

また、銀行受けが良い決算書というのは、多くの場合、税務署にも受けが良いんです。つまり、税金面では不利になることが多いわけです。税金も少ない、融資もバッチリ、処理も簡単で会計事務所の費用も低いなんて、うまい話は残念ながらありません。

しっかりと考えて頂きたいのは、融資・税金・手間・コストのどこをどれだけ重視するのかということです。