言葉の使い分け

経理の話をしていると、費用、経費、損金などの専門用語が出てきますが、これらの意味や使い分けをご存じでしょうか?
知らなくても実務上はあまり問題ないのですが、気になる!という方のために簡単に解説してみます。

  1. 費用:会計で使う用語。「仕事をするためのコスト」なので仕事に関係のないものは含まれません。また、通常はお金を支払います。
  2. 経費:経常費用の略。基本的には費用と同じ意味です。
  3. 必要経費:所得税の世界では「必要経費」という用語が出てきます。この必要経費を略して経費と言っている場合もありますので、若干の注意が必要です。ちなみに必要経費は「仕事をするために必要なコスト」という意味なので、内容はほぼ費用や経費と同じですが、法律(所得税法など)でいくつか特殊なルールが決められており、例えば「家族にアルバイト料を払っても必要経費にできない」とか、「駐車違反の反則金は必要経費にできない」などがあります。
  4. 損金:法人税の世界の専門用語で「そんきん」と読みます。こちらもほぼ費用や経費と同じ内容を指しますが、必要経費と同様に法律(法人税法など)でいくつか特殊なルールが決められています。その例として「交際費や寄付金は全額が損金にならない場合がある」「役員の賞与は原則として損金にできない」などです。ただし、損金という用語は一般的に馴染みが薄いため、あえて損金と言わないで「経費」と言ったりすることもあります。「いや、社長。それ経費で落とすのは厳しいですよ!」なんかはその例です。

いかがでしょうか?仕事をするうえで発生する支出のうち、費用にも必要経費にも損金にもなるものはたくさんありますが、必要経費にはなるけど損金にはならないものや、損金にはなるけど必要経費にはならないものなど、細かい違いがある支出もあるので要注意です。

経費(損金)にするかどうか?

上で書いたように、原則として、仕事に関係のあるものしか経費や損金にはできません。なにを当たりまえの事を、と思われるかもしれませんが、関係あるかどうか、中々難しいところもあるのです。
例えば、外国人のお客様が増えてきているので、理髪店の店主が英会話学校に通った場合の授業料とか、飲食店を経営している個人が、新メニューの研究を目的として、他の飲食店で食事した場合の飲食代などはどうでしょうか?

商売上の目的がハッキリしていれば大丈夫な場合も多いのですが、もしも悩んだ場合は、「自分以外の従業員が同じことをした場合でも、その費用を会社で問題なく負担できるか?」と考えてみるといいでしょう。
誰が使ってもまったく問題なく認められるような支出は、一般的に経費性・損金性で問題になることは少ないと思います。