経理における対策とは

経理や会計事務所のホームページを見ていますと、決算対策とか節税対策などの言葉を頻繁に目にします。
もちろん、決算の数字を事前に予測して、準備をしておくということはとても大切なのですが、その中身を読んで「???」と思わざるを得ないものも多いのです。

ところで、経理関係の対策は大きく分けて2つの目的があります。1つ目は節税目的で行われるもの。2つ目が銀行や株主対策で行われるものです。前者は利益や売上を減らすことでメリットが生じますが、後者は逆に売上や利益を増やすことが目的だったりします。つまり、基本的に両者は相反関係になるのです。

節税対策

税金を減らすのってそんなに簡単なことではありません。で、巷にあふれる節税対策も実際にはそんなにたいした話ではないんですが、「未払いの費用を計上する」とか、「廃棄済みの固定資産を除却処理する」とか、書いてて恥ずかしくないのか?と思ってしまうものもあります。
こんなものは経理の基本であって、対策でもなんでもありません。逆にこれまでやっていなかったのか不思議です。

もちろん、税額控除等の制度上の優遇税制を積極的に活用する手法など、かなり高度な節税対策といえるものも中にはあります。また、経営者の相続対策(事業承継対策)では、組織再編や株式交換などのテクニックを使って複雑な節税対策を提案している事務所もあります。

これらの対策には、実行した後で税務署から否認されるリスクもありますから、すべてが良いことばかりとはいえませんし、別に積極的にお勧めするわけでもありません。しかし、冒頭に書いたような経理の基本を、さもテクニックであるかのように見せるのはいかがなものか?と思ってしまうわけです。

決算対策

当事務所のお客様でも株主対策として、赤字を嫌うお客様はいらっしゃいます。だからといって架空の売上を計上したりはしません。あくまで、決算までに支出する費用の額を検討したり、来期以降に見直しできそうな経費支出を洗い直したりするお手伝いをしています。

昭和の時代は、上場企業などでも決算対策として、期末近くなると子会社に商品を販売して売上を計上し、翌期になったら返品させて売上を取り消すというような粉飾まがいの対策をやっていた、と聞いたことがあります。

節税対策にしろ決算対策にしろ、日々の経理処理をちゃんとやっていると、決算が近づいてきたからといって、そんなに大きく数字を変えることは難しいのが実情なのです。