いざ、会社をつくる!独立しよう!としますと、色々と準備しなければならないことがあります。
資本金.(運転資金)の用意、事業計画の作成、口座開設銀行の決定、印鑑作成、ホームページ作成など、必須のものから省略できるものまで様々あります。
そこで、今回は株式会社を作るときに最初に作成することになる 定款 の記載事項に関して、書いてみたいと思います。
絶対的記載事項
次の1~6までの事項は、必ず定款に記載しなければなりません。
1.事業目的
設立する会社で行う事業の内容を記載します。例えば「飲食業」とか「コンサルタント業」などがそうですが、定款の事業目的は登記事項でもあるため、抽象的なものだと登記する際に 法務局 で修正を求められてしまいます。従って「飲食店の経営」とか「建築コンサルタント業」のように少し具体的に書くと良いでしょう。
目的はいくつ書いてもOKですが、多すぎると「欲張ってる感」が出てしまうので、最初は多くても15個程度にしておくのが無難です。また、最後に「前各号に附帯または関連する一切の事業」と書くことがお約束になっているので、忘れないようにしましょう。
なお、そうとう前の出来事ですが、目的に「ワープロ」という言葉が使用できるかどうか、法務局の職員と登記申請者がガンガン言い争っているのを見たことがあります。
職員は「ワードプロセッサーと書かないと受け付けられません!」と主張し、申請者は「ワープロで分かるでしょ!ワープロは大根でもニンジンでもないでしょ!」とか言い返してましたね。今でも「スマホ」とか書いたら却下されるのでしょうか?まあ、却下されたら訂正すればいいだけですが。
2.商号
商号とは会社の 名称 のことで、これも登記事項です。後日変更するときには 登記費用 がかかりますし、取引先や銀行への連絡、印鑑の作り直しなど手間もけっこうかかりますから、しっかり考えて決めましょう。
ただし、飲食店や理髪店などで商号ではなく屋号を前面に出して商売する場合は、それほど商号を気にしなくても大丈夫です。
なお、屋号とは「芸名」「ペンネーム」のようなもので、佐藤さんが作った会社の商号を「株式会社佐藤書房」とし、お店の名前を「シュガーブックス」にするような感じです。税務申告書や決算書などの公式文書は、もちろん商号で作成しますが、お店の看板や名刺、パンフレット、ホームページで「シュガーブックス」を名乗ることは問題ありません(「株式会社シュガーブックス」とは書けません)。
3.本店所在地
一般的には本社の所在地で登記します。所在地は 住居表示 を全部書かなくてもかまわないので、××市や××区など 市区町村 までで止めておきましょう。ちょっとお向かいに引っ越しなんて場合に、いちいち登記の変更をしないですみます。また、本店所在地は、必ずしも店舗やオフィスの所在地でなくともかまいませんので、登記上の本店所在地を自宅とし、事務所は別のところにすることもできます。中には創業の地として全然関係のない場所が登記されている会社なんかもあったりします。個人の本籍地のような感じでしょうか。
なお、こちらも本店所在地を変更するときには 登記費用 がかかります。また、賃貸物件の場合には、登記するときに大家の許可がいる場合や、登記できない物件もあるので注意しましょう。
4.資本金の額
正式には「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」といいますが、簡潔に言えば資本金のことです。資本金の額は、特に理由がなければ1,000万円以下にすると税金面で有利です。とはいえ、あまり少ないとちょっと見栄えが悪いので、少なくとも300万円以上はあった方がベターでしょう。
なお、資本金の額は、会社の規模や信用力を表しているところがあります。実際に会社案内やホームページなどに「資本金 ××円」と記載されたりしますので、この辺りを気にされる方はがんばって1,000万円に近づけましょう。逆に1,000円より多くしたい方は事前に専門家と相談しましょう。
5.発起人
会社を創業する人(人たち)で1人以上であれば何人でも大丈夫です。発起人になるための資格などは特になく、外国人でも、会社でも、保護者の同意があれば15歳以上でも、発起人になることができます。
なお、発起人は最初の株を1株以上引き受けなければならず、必ず出資することになりますので、特別の事情がなければ、発起人は社長になる人1人でいいでしょう。
ちなみに、定款には、発起人の氏名と住所を記載しますが、これは発起人の印鑑証明書の記載と一致させる必要があるため気をつけましょう。齋藤を斉藤と書いたり、四丁目7-4を4-7-4と書いたりすると認証が受けられず、書き直しとなります。
6.発行可能株式総数
こちらをご覧ください。
相対的記載事項・任意的記載事項
次の7~9は定款に記載するかどうか自由ですが、記載した方が良いおすすめの項目について説明します。
7.株式の譲渡制限に関する定め
株式の譲渡制限とは、「わが社の株を売却するときには株主総会の承認を必要とする」というルールで、これを定款で定めることにより登記事項となります。譲渡制限を定めておくことで、知らない間に ヤバイ人 に株を売られたりするリスクを防ぐことができますので、基本的には譲渡制限は付けましょう。
8.取締役(監査役)の任期の伸長
株式会社の場合、取締役の氏名(代表取締役は氏名と住所)は登記事項であり、その任期は原則として2年となっています。そのため、仮に同じ人が続けて取締役をやる場合でも、重任の登記が必要で 登記費用 が毎回かかります。取締役の任期は最長10年まで伸ばすことができますので、登記費用を節約したい方は「伸長の定めを設けておきましょう。
9.事業年度
「当会社の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までの年1期とする。」などと記載します。この例の場合、3月31日が決算日になりますが、日本では3月決算の会社が一番多く会計事務所の繁忙期になりますから、特に理由がなければ4~8月あたりをおすすめします。
なお、1月1日始めの場合は「翌年」12月31日と書くと間違いですので気をつけましょう。3月1日始めの場合は「翌年2月末日」と書きます。ちなみに、事業年度は月末終わりでなくても大丈夫ですし、1年1期でなくても大丈夫ですが、事務処理その他色々と不都合なことが起きますので止めておきましょう。
最後に
以上、特に重要な点について解説しましたが、実際に自分で定款を作る場合には、グーグルなので「定款」を画像検索しましょう。ひな形をダウンロードできるところもありますので、商号などの記載事項が決まっていて、ワープロが普通程度に使えれば、数時間程度で完成すると思います。