集中投資
1銘柄への集中投資は神の戦略です。でも人間は神にはなれませんからインサイダー情報でもあれば別ですが、普通は複数銘柄投資をすることになります。
分散投資とは逆に、緻密な分析が求められますので、面倒くさがり屋には絶対に向いていません。値下がりに耐えられない人にも向いていません。でも、1年で資産を10%以上増やしたいのであれば、ある程度の集中投資を行う必要があります。
しかし、高いリターンを望むということは、高いリスクをとることに他ならないので、欲深な人にも向いていないと思います。
仮に100万円を1年で150万円に増やしても(リターンは年50%)、翌年50%のマイナスリターンになれば資金は75万円に目減りします。しかも、たいていの場合、最初の成績に気をよくして(自分は株の才能があると勘違いして)、2年目は投資金額を増やす傾向が高いので、さらにダメージは拡大してしまいます。
これはある意味人間の業です。100万円が1年で150万円になるなら、1,000万円投資していれば、いまごろ1,500万円か…と考えてしまうのです。
株で身持ちを崩す人は、このような人です。しかも2年目で負けても今度は負けを取り返そうとがんばります。仮に2年目で儲かっても3年目に全財産をつぎ込むか、信用取引(借金で株を買うこと)を始めますので、結局いつかは大負けに負けます。このような気質の人はそもそも株式投資に不向きですから、堅実に預貯金を勧めます。
集中投資といえば、アメリカの伝説的投資家(まだ現役です)ウォーレン・バフェットがいます。ちなみにバフェットの資産規模は8兆円を超えていて世界で2位(1位はマイクロソフトのビル・ゲイツ)ですが、この巨額資産を主に株式投資で作ったというのですから驚きです。
何しろ生ける伝説ですから日本にも多くのファンがいて、バフェット関連書籍も色々と出版されていますが、どんなにバフェットを研究しても、凡人がバフェットになることはできないと思います。
バフェットは、株式投資に対して当たり前のことをさらっと言うので、自分にもできそうな気になりますが、才能のある人というのは常に当たり前のことを人よりも上手にやるものなのです。
長期投資と短期投資
私の推奨する割安株投資において投資期間は結果論と考えています。すぐに目標株価に到達すれば短期投資ですし、時間がかかれば長期投資となります。
しかし、投資の世界では長期投資派と短期投資派というものが存在し、主張に隔たりがあるので投資スタンスを確立するまでは、かなり混乱します。そこでデイトレ(真似事ですが)から長期投資(結果的にですが)まで経験した私の個人的意見を述べてみます。ここでは便宜的に投資期間の区分ごとに投資家を2種類に分類します。
- 短期投資派:最初から投資期間を短期(1年以内)と決めている(デイ・トレードを含みます)
- 長期投資派:最初から投資期間を長期(5年超)と決めている(できれば一生ホールドしたいと考えている)
まず、株式投資のおいて収益源を何に求めるかが違います。短期投資は株価の値動き自体に収益源を求めます。たとえば通期予想の上方修正のような、いわゆる材料による値動きもそうですが、極端な話、株価が動きさえすればそれがチャンスなのです。従って、短期投資においては需給関係を分析することに重点をおくわけです。
平成×年6月に超低位株(1株50円以下くらいの銘柄)にお祭りが起こりました。たまたまそれに気付いた私も面白半分で参加したのですが、株価が動くこと動くこと。1日30%くらい平気で乱高下するので、ハラハラ感はジェットコースターの比ではありませんでした。
しかも、なぜこんなに株価が乱高下するのか原因がまったく分からないのです。おそらく理由などないのでしょうが20円で買って22円で売る。25円で買って30円で売る。60円になってもまだ上がりそうだから買って、62円で売る。そこは理屈も分析もへったくれもない世界でした。
ちなみに取引報告書の記録では「アイビーダイワ(これが火付け役だと思います)」「森電機」「東理ホールディングス」「南野建設」「エス・サイエンス」を売買していますが、だいぶ昔の話なのですでに存在していない会社もあるかもしれませんし、これらの会社が何をやっているのかは、いまだに知りません。
ただし、最初からお祭りであることを分かっていたので、結構利益は出ていましたが、熱狂覚めやらぬ7月初旬には手仕舞いし、その後は一切気にかけないことにしています。
このような投資(投機)は極端ですが、短期的には株価は合理的な理由を根拠とせずに動く可能性があるものなのです。1日で企業価値は30%も増減しませんから、ここでは企業分析はほとんど意味を成しません。また、このように株価が効率的でない値動きをすることから、(株式)市場は非効率的であるなどと表現されることもあります。
一方、株価は企業価値を反映するものと考えるのが長期投資派の見解です。もちろん、短期的には適正な企業価値を反映しない株価になることもありますが、いずれは妥当な株価になるはずだという考え方で、割安株投資の根幹ともいえる考え方です。
また、企業の成長に着目して株式投資を行う人も、必然的に投資期間が長めになりますが、このスタイルの場合には現時点で割安である必要はありません。
仮に現時点では妥当な株価だったとしても、5年後に利益が2倍に成長するならば今買っておけば割安で購入できたことになるからです。
なお、その複利効果に着目して長期投資を推奨する人もいます。複利効果とは投資で得たリターンを再投資することで、利益が利益を生むことをいいます。この場合の長期投資とは同じ銘柄を長く保有する必要はなく、株式投資を長く続けることに重点が置かれています。
長期投資派の主張には、これらが混在していますので注意する必要があります。
ちなみに私の場合は、自分が割安と思える株価で買って、目標値に株価が達成したら売るというパターンが一番多いので、短期売買になることもありますし、長期保有になることもあります。
個人的には投資期間にこだわること自体、あまり意味のないことだと思っているのですが、短期投資派は主として需給を予測するもので、長期投資派は企業価値を予測するものであることは理解しておいた方がいいと思います。