「割安株投資法」は連載形式の物語となります。架空のファイナンシャル・プランナーである「私」を主人公にして、株式投資と会計について書いていこうと思っています。少し長くなるかもしれませんが、投資にご興味があればぜひご覧ください。

ライフプランニング(人生設計)の世界では、「充実した人生を送るためには3つ必要なものがある」と言われています。その3つとは「生きがい」「健康」それから「お金」です。

株式投資による資産運用は、この3つのうち「お金」を手にいれるための手段の一つですが、多くの人たちの人生においては、働いて稼ぐための技術を身に付けることの方がより重要です。しかし、これまでのように終身雇用や公的年金が当てにできなくなりつつある現代では、資産運用による収入の重要性が高まってきていることも事実でしょう。

私自身もファイナンシャル・プランナーの資格を取得した頃から、第2の収入源としての資産運用を真剣に考えるようになりました。その手段として私は「株式投資」を選択したわけですが、株式投資が本当に第2の収入源となり得るのか最初はとても懐疑的でした。

現在では自信を持って「YES」と言うことができますが、それでも株価はいつも自分の思い通りに動いてくれるとは限りません。会社員の給料のように毎月一定額の収入を確保するのは、専業投資家ではない私には無理だという結論に達しました。

確かに株式投資で生計を立てているデイ・トレーダー(必ずしもデイ・トレードばかりではないでしょうが)と呼ばれる個人投資家もいますが、金融機関に勤めるプロならともかく、本業のある人にとって1日中株価が気になり、仕事が手につかないようでは本末転倒だからです。

従って、株式投資は定期的な収入源には不向きですが、私は老後も視野に入れた将来の生活資金に投資収益を充てることはできないものかと考えてみました。

すると投資期間は数十年になり、本当のチャンスをじっくりと待つことができるようになります。そして本当のチャンスに投資した資金は、非常に高い確率で大きなリターンをもたらしてくれることが分かったのです。

この時、初めて自分の投資スタイルが確立したのだと感じました。もちろん、こんな気の長い投資スタイルは合わないと思う人もいるでしょう。しかし、投資を収入源として考えるならば、大事なのは「結果」であって「好み」ではありません。そして結果を重視するならば、まず目的を明確にする必要があります。

社会に出たばかりの方、事業を始まられたばかりの方には、資産運用はおすすめしません。まず、メインの収入をしっかり確保する方が先だからです。しかし、メインの収入が安定していて、かつ、老後資金について若干でも不安を感じているなら、資産運用を考え初めてもいいかもしてません。

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